箱館真景

1868年(明治元年・慶応4年)
著者/明細堂、木版彩色折図・36.9×71.4cm

箱館港を北東から鳥瞰する構図で、函館山と市街地さらにはこの視点からでは見えるはずのない福山御城(松前城)と青森方面まで眺めることができる図。本シリーズ「明治セレクション」で採用した1882年(明治15年)の「函館真景」もこれと同じ構図で描かれたことで知られる。
1859年(安政6年)の開港以来、急速に岸壁の整備事業が進み、弁天台場、大町の築島(外国人居留地を予定)も完成している。イギリス、ロシア、フランス、アメリカなどの建物が描かれ、港内には外国船が多数停泊し、諸外国との交流が進んでいることがわかる。一方、五稜郭が築造され、會津、秋田、庄内など東北各藩の陣屋が港を囲むように配置され、北辺防備の拠点としての整備が進んでいる様子もうかがえる。

(函館市中央図書館所蔵)

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