箱館大戦争之図

1869年(明治2年)
著者/永島孟斎、3枚組錦絵・37×75cm

3枚組の錦絵。作者は永島孟斎で、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師。幕末に多くの武者絵、美人画、風刺画を残した歌川国芳の門人であったことから歌川芳虎と名乗っていることもあったが、1858年(安政5年)に破門されてから以後孟斎と号した。
箱館戦争は、1868年(明治元年・慶応4年)京都の鳥羽・伏見で始まった戊辰戦争の戦闘の一つで、榎本武揚が率いる旧幕府軍と新政府軍との最後の戦闘として知られている。本錦絵の一番左で白馬に乗って槍を持っているのが榎本釜次郎(榎本武揚)で、その隣で馬に乗って刀を持っているのが大鳥圭介、中央で刀を振りかざしているのが松平太郎である。一番右では馬にも乗らずに刀で奮戦する土方歳三の様子が描かれているが、土方はその容姿も相まって現代でも多くの幕末ファンに愛されている。
なお、土方の肖像写真は写真師・田本研造によって1868年(明治元年・慶応4年)に撮影された。田本は、本シリーズ「明治セレクション」の「明治15年函館全景」および16枚セットの大判ポストカードで採用した古写真「明治25年函館港全景」を撮影した人物で、北海道開拓事業の記録写真を撮影したことでも知られる写真師。

(市立函館博物館所蔵)

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