五稜郭之図

1862年(文久2年)、彩色折図、36.6×51.2cm

五稜郭の規模や郭内の建物の配置が詳細に記されていて、最終段階の設計図とみられている。同系統の図である「五稜郭目論見図」は函館市中央図書館に所蔵されている。
本図では、五稜星型で稜堡からなる西洋式土塁、郭内には箱館奉行所庁舎など20棟余りの付属建物が配置されている。1856年(安政3年)に蘭学者・武田斐三郎が書いた「五稜郭初度設計図」(市立函館博物館所蔵)では半月堡が5箇所あったが、1862年(文久2年)の本図では南西向きの1箇所に変更されている。また、3箇所の出入口のアーチ状の石組みも実際には施工されておらず、完成した五稜郭は当初設計案からは相当な縮小・簡素化がなされている。なお、同時期に建設された弁天台場の出入口はアーチ状の石組み構造であったが、後に解体されてしまう。

(市立函館博物館所蔵)

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