金森商店 錦絵

1880年(明治13年)
発行/渡邉熊四郎、錦絵・25.3×37.4cm

旧金森洋物店は、函館四天王の一人・渡邉熊四郎が1880年(明治13年)に建造したレンガ造りの和洋折衷建築物である。本図は開業時に配布されたチラシ。色彩の美しさは函館市中央図書館で実物を確認されたい。
本錦絵には「舶来小間」や「西洋酒」、建物正面のひさし下にローマ字で「CANEMORI MISE」と記載されていることから、洋物店であることを強く打ち出している。なお、店頭に掲げられた縦型看板の「鶏肉ケレー」はカレーではなく、滋養強壮にも効果的な鶏肉を煮込んだスープだったと言われている。
明治時代の北海道開拓使は災害に強い街づくりの一環としてレンガ造りの建築を推奨。旧金森洋物店には茂辺地煉瓦石製造所のレンガが使用された。その後の大火でもこの建物だけは焼失することなく、現代も市立函館博物館郷土資料館として活用され、先人たちが築き上げてきた函館の歴史と文化を未来に語り継いでいる。北海道指定有形文化財。

(函館市中央図書館所蔵)

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