明治15年函館全景
1882年(明治15年)
撮影/田本研造、ガラス湿板からスキャン、5枚1組の1枚、23.8×29.8cm
5枚1組のパノラマ写真のうちの1枚。函館氷室の屋根(現在の豊川町にある及能倉庫)からと撮影したとされる。明治12年の大火から3年しか経っていないが、防火対策として大規模な街区改造と左手奥の二十間坂など道路の拡幅工事が進み、西部地区の現在の街並みの基盤がこの頃にできたことがわかる。正面の山麓(左側のポールの奥)には天主公教会(現在のカトリック元町教会)やハリストス正教会の尖塔が見える。手前には1882年(明治15年)に建てられた三菱商会函館支社の倉庫が確認でき、函館山は山肌が露出して、開発が進んでいない様子が確認できる。
なお、元町公園内の「旧北海道庁函館支庁庁舎」にアメリカンレストラン「Jolly Jellyfish」が2022年8月にオープン。店舗の2階には、本写真が5枚組で大きくパノラマ展示されているのでぜひご覧いただきたい。
本写真を撮影した田本研造は、本シリーズ16枚セットの大判ポストカードで採用した古写真「明治25年函館港全景」を撮影した人物で、土方歳三の肖像写真や北海道開拓事業の記録写真を撮影したことでも知られる写真師。
(函館市中央図書館所蔵)